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#01|日本の発酵文化の歴史

第4話|醤油の歴史

第1、2話では発酵食の歴史、その特徴についてご紹介しました。第3、4話では日本の発酵食品の代表とも言える「味噌」と「醤油」についてご紹介していきます。

起こりは溜まり醤油。鎌倉時代後期から

日本の醤油の起りは溜まり醤油であると考えられています。

鎌倉後期の1254年、宋で修行していた信州の禅僧、覚心が径山寺から持ち帰った味噌の製法を紀州で教えた際に、偶然樽の底に溜まった汁が美味しいことがわかり、これが溜まり醤油を作るきっかけになりました。ここに醤油の発展が始まります。ちなみに溜まり醤油は、現在でも愛知、三重、岐阜の三県で生産されています。

醤油は市場が発展した室町時代に日常生活に普及していきました。

醤油の広がりは魚の食べ方の変化と密接に関わっています。それまで魚は鱠(なます)と呼ばれる調理法で身を細く切って酢で食べていましたが、醤油の普及により太く切る刺身に醤油をつける現在でも主流のスタイルに変わっていきました。こうして生の魚を美味しく食べれるようになったのが醤油が広く普及した要因だと考えられます。

江戸っ子好みの「濃口醤油」

江戸の街における醤油の発展も興味深いものがあります。

江戸時代初期は醤油の供給のほとんどを上方に頼っていて、紀州の湯浅や播州の龍野などから樽廻船で運ばれて来る「下り醤油」は江戸の庶民には手の届かない贅沢品でした。そのため庶民は「地廻り醤油」と呼ばれる品質の劣る江戸周辺で作られるものを使用していました。

銚子・野田で「濃口醤油」が生産され始める

しかし、やがて銚子港に漁民の手で紀州の湯浅の醤油の製法がもたらされることになり、ここから江戸に向けての輸送が便利な利根川流域で江戸っ子の好みにあった醤油が生産されるようになります。

1640年の江戸川の開削により野田から日本橋まで1日の行程になったことで一艘の高瀬舟が1000樽の醤油を江戸に運ぶようになり、江戸っ子好みの「濃口醤油」が大量に安価で提供されるようになりました。

単身赴任者を支えた江戸のファストフード

こうして「濃口醤油」をベースとする天ぷら、うなぎの蒲焼、握り寿司など醤油の味を基本とした江戸の食文化が花開くことになります。

当時の江戸の街は単身赴任者が多く、朝早くから夜遅くまで働く人が多かったのもこうしたファストフードが普及した要因だと考えられます。

このようにして「薄口醤油」と昆布出汁の薄味を好む関西料理に対して、「濃口醤油」を基本とした江戸の料理が個性を確立し和食がさらなる発展を遂げることになりました。

現在でも多種多様な醤油が作られ、様々な料理を支える基本の味として日本の食文化を支えています。

醤油を使ったアレンジレシピ

りゅうきゅう丼 紫蘇ジェノベーゼ乗せ

作り方
  1. 醤油・みりん・お酒を同量で合わせ漬けダレを作る(みりん・お酒は最初に煮切って醤油を足す)
  2. 鰤・鯵を同じサイズになるように切る
  3. 1におろしニンニク、生姜を入れて切り身を30分程度漬ける
  4. ご飯の上に3を盛り付け、白胡麻をたっぷりかけ、ネギ、刻み海苔をかける。
  5. 紫蘇ジェノベーゼを真ん中に盛り付け、最後に生姜七味のスパイスを軽く振る
材料
  • 鰤・鯵
  • 醤油・みりん・日本酒:同量
  • おろしニンニク・おろし生姜:適量
  • 白胡麻・刻みネギ・刻み海苔
  • 紫蘇ジェノベーゼ:適量
  • 出雲生姜七味スパイス:適量
醤油・みりん・お酒を同量で合わせ漬けダレを作り、鰤・鯵を同じサイズに切る。
漬けダレにおろしニンニク、生姜を合わせ、切り身を30分程度漬ける
ご飯に盛り付け、真ん中に紫蘇ジェノベーゼを適量。白胡麻・刻みネギ・刻み海苔・七味スパイスをふりかける
レシピ考案者

國本 祥史|Yoshifumi Kunimoto

株式会社ワングローバル 本部長
2009年渡仏。シャンゼリゼ通りの5つ星ホテル(La Maison du Champs Elysee)内レストランにて部門シェフ兼副料理長を担当するなど数多くのレストランでの経験を経て2019年帰国。

今回のおすすめ商品

<和歌山県>湯浅たまり(300ml)

赤松の薪材を燃料に和釜で半日かけて火入れを行った 江戸時代から伝わる伝統製法で作る濃口醤油

(株式会社 角長)

<宮城県>大葉のジェノベーゼ(60g)

クルミ、オリーブオイル、国産にんにく、天日塩にこだわったジェノベーゼ

(スカイラーク・アワノ)

<島根県>出雲生姜入り七味唐辛子(15g)

斐伊川のほとり、神立の万九千神社のおそばの畑で育てた生姜(栽培期間中農薬不使用)を
蒸して乾燥させ粗挽きにして使用した七味唐辛子
(有限会社 出雲生姜屋)